たまるのトキメキ

人生に少しのトキメキを

美しく、頭のおかしい映画を観た『ミッドサマー感想』※ネタバレあり

この手の映画は正直好きではない。

そもそも血が苦手で、キアヌリーブス主演のジョン・ウィックシリーズを観るのもやっとのレベルだ。

昨年上映された「IT」を一緒に観に行った友人から、「たまるはこの映画観たら失神するかもしれないからおすすめしない」と言われ。

だから、やめといた方がいいってのは分かっていた。

ただ、やめとけと言われたら余計に行きたくなるのが性分。

立ち入り禁止の柵は越えたくなる少年の心が今でもあるのだろうか。

 

気付いたら、TOHOシネマズにいた。どうしても見たいものがあった。

それは終盤にあるという「セックスシーン」である。

予告で見た世界観の中に、一体どんな感じで濡れ場を入れてくるのか気になって夜も寝れなかった。

 

(感想)

まず舞台となる村の明るさと反比例して行われていく数々の催し物(行事)とのギャップが素晴らしく気持ち悪い。

個人的に最高潮だったのは序盤にあるシーンだ。最高齢の老人と老婆が崖から飛び降りるシーン。飛び降りまでの焦らす感じが、例えるならジェットコースターをずっと頂上目がけて登っている最中の時のようなドキドキ感に非常に近い。そして、飛び降りてからのシーンはトラウマになる。幼少の頃に飛び降り自殺を発見したことがあり、その時の光景がフラッシュバックした。着地のシーンがリアルすぎるのだ。

 

全体を通して、不安にさせるような生々しい音と視覚(霞んだり、画面が反転したり)の使い方が秀逸すぎて頭がおかしくなる。

 

そして待ちに待った「セックスシーン」はというと、想像していたほどの美しさはなく、今作で最大のお笑いポイントだった。

13名の年配女性がだらしない裸体を曝け出し、肩を組んで性行為を応援する光景は、同じヒトという人種を超えた何かであることを感じさせた。予想を裏切らない頭のおかしさだった。

 

ラストシーンは、冷静に考えたら胸糞悪いのだが、なぜか感動してしまう自分がいた。二時間半後には自分自身も村人側になり、共感する心と文化を美しいと感じてしまっていたのだ。